近年、宇宙に関してこれまでの通念を覆すようなニュースが次々に報じられて目が離せません。金曜日(1997/05/30)のテレビ、新聞ではNASAの衛星画像データの分析から米アイオワ大学のルイス・フランク博士が、大量の「宇宙の雨」が地球に降り注いでいる証拠を発見した、と報じています。地球の海の起源に関して彗星説があることは承知していますが、新たに「宇宙の雨」説が浮上して来て、いずれにしてもこれまで無味乾燥と思われた宇宙空間には多量の水が存在していて、億単位の時間経過の中では、惑星の海を形成するほどの水の供給源になっているかもしれない可能性が科学的現実味を帯びて来たように思われます。
“雨の素”の量は20〜40トン
昨年は月面に氷湖が存在するニュースも報じられ、惑星や衛星の条件次第では宇宙空間から供給された大量の水は蒸発せずに保持され、生命の温床にもなり得るわけで、水を主体とする地球型生命体が進化した地球外知性体の存在の可能性もさらに膨らんで来たように思われます。
フランク博士によれば、地球に降り注ぐ「宇宙の雨」の元は重さ20〜40トンほどの多量の水を含んだ「雪玉」で、高度千〜2万キロで分解して雲の一部になり、この雪玉が一日当り数千個降り注いでいるとすると、1〜2万年で地表全体に約3セ
ンチの水がたまる計算になるということです。これが事実だとすれば、今後惑星軌道上の宇宙ステーションの維持に必須の生活用水の供給源としても、この「宇宙の雪玉」が現実的な検討対象となるかもしれません。
手頃な大きさの宇宙の氷を捕獲 し、解かしてシャワーを浴びるなんて乙な話です。21世紀はアルプスの天然水どこ
ろか正真正銘の「宇宙の天然水」なんて商売が生まれるかも?
ノアの洪水など全地球的な洪水伝説の起源も、もしかするとこのような宇宙的な
水の偏在が、短時間に地球に降り注いだことによるのかもしれない、といった考え
方もできるかもしれません。だとすればこのような大規模な災厄のメカニズムを解明するために「宇宙気象学」などという研究分野も今後登場するかもしれない。いろいろ興味は尽きません。
関係書:『水惑星』の誕生(ルイス・A・フランク/二見書房/1991)
1997/05/31

地球の海の故郷は宇宙にあった?
月の極地方にも大量の氷が・・
正体不明の黒い点を観測
このニュース、少し気になってインターネットでアイオワ大のホームページへと行って来ました。Small Cometsのページに今回の発表内容の詳しい解説が用意されていてさすがです。プリントアウトした英文資料はA4で6ページ、また今回の発表に至る以前の研究経過とルイス・フランク博士のプロファイルについては合わせて9ページの資料が入手出来ました。
1980年代から地球観測衛星が撮影した画像の中に、明るい地球を背景にして正体不明の小さな黒い点が混じっていて、当初これはデータ処理のさいの単なるノイズの可能性も含めて原因物体の特定を進めていたようです。昨年末、北極圏の観測を目的にしたポーラー衛星が広角度の遠紫外線地球カメラと可視映像システムを用いて撮影した画像を分析したところ、予想していた所よりも遥かに高い宇宙空間から
「雪球」が飛来していることが明らかになったということです。
大気圏より更に高 いところに豊富な水が存在する、とミシガン大学のトーマス・ドナヒュー教授も認めています。今回の発表についてNASA当局者のスティーブ・マラン氏は、降り注ぐ雪球の「量や大きさ、どのくらい地球に水を供給しているかについてはまだ確定できないが、
衛星写真に写る黒い点は地球に飛来する『含水物体』(water-bearing
objects)であることは明らかである」とフランク博士の主張を支持している、とCNNが報じています。さしずめこれは、UFOならぬ宇宙からの「確認水球物体」といったところでしょうか。では、この水はどこからやって来るのだろう?今後の研究が待たれます。
1997/06/02
木星にも雨音が?
ここのところ宇宙関係のニュースが相次いでいますが、昨日また宇宙的な「雨」
に関するニュースが新聞で報じられました。今度は木星。さっそく
CNNをチェックしてみました。
木星といえば、私の拙い天文知識では「アンモニアガスに包まれた死の惑星」と
いったイメージを描いていましたので、接近したらさぞ「臭い」だろうな、なんて思ったりしていました。
惑星探査機ガリレオが1995年12月、木星に投下した大気探測装置(プローブ)によれば、豊富な水が存在するかもしれないという当初の期待と逆の結果が出たのは投下場所がたまたま乾燥地帯であったからだということのようです。
この点についてカリフォルニア工科大学のアンドリュー・インガソル教授(惑星科学)は、プローブが投下された場所は「木星のサハラ砂漠」のようなところだったのかもしれないと考えているようです。その後の最新調査によって木星の気象はやはり「湿っている」ことが明らかになり「固定的な地表のない、生命体が維持される見込みのほとんどない惑星」に変わりはないものの、より地球的なイメージに近い気象環境を持っていることがわかってきたようです。
ガリレオに搭載された近赤外図作成分光装置を担当するロバート・カールソン氏
によれば、木星にはカリフォルニア州デスバレーのように1%程度の湿度しかない
場所があるにしても、他の場所はきわめて湿潤で「今にも雨が降り出しそうな、あるいは現に降っている」と推測しているようです。まさに木星のアメダス情報の話を聞くようで愉快ではあります。
こうした水など木星大気の成分の由来について、ハワイ大学のオウエン氏(惑星
科学)は「地球と同じように、彗星の落下によってもたらされたもの」と考えているようであり、前回の「宇宙から雪玉」にも関連して興味深い話です。
これによって短絡的に「木星に生物」と話を飛躍させるのはまだ早計だと思いま
す。映画『2001年宇宙の旅』(アーサー・C・クラーク原作)では月面でモノリスを発掘後、人類は地球外文明を求めて探査船ディスカバリー1号で木星に旅立ちます。その後展開される神秘的な宇宙の映像は人類学者ウェスルマン氏が『スピリチュアル・ウォーカー』(早川書房)で物語ったような色相が補色に反転した異世界を想起させ、興味深く思います。
なお以前報じられた「月面の氷」に関しては、生前カール・セーガン博士が教鞭を執っていたコーネル大学の教授らがアレシボの電波望遠鏡を使って撮影したデータを分析した限りでは、そのような証拠は見つからなかったというニュースも発表されており、今後の展開に目が離せません。
なお今回の「木星の雨」に関する情報はJPLのホームページに詳しく紹介されて います。
1997/06/08
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